企業力強化サイクル「資金力・中間力・商品力・仕組力・集客力」の相談役
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 補助金獲得はじめの一歩

初心者のための基礎知識 探し方、もらい方、採択のコツ、トラブル防止

   〜まえがき〜 

■補助金は国や市町村、各種団体などからもらえる、返さなくて良いお金です。しかも億単位で出るものもあります!

そう聞いたら、欲しくなりますよね。でも気をつけてください。世の中には補助金初心者を狙って、本当は必要のない補助金を申請させて高額の手数料を取っていく人がいます。補助金の一部から手数料が払われるので、それでも問題はないように思えますが、そううまくはいきません。補助金はもらった後から使い道を考えることができないからです。申請前に事業計画を立て、その通りに実行することが条件です。支払われる金額は、計画した事業にかかる費用の一部だけで、自己負担も伴います。支払われる時期は、事業が終わってからであり、その間の資金繰りも必要です。補助金は返さなくても良いお金ではあるけれど、実は「自由に使えるお金」ではないのです。
 

申請するかどうか判断する際のポイント
使い道は事前に決める
補助金は 国のさまざまな政策に沿って募集されています。それぞれの補助金の目的や趣旨と自分の事業との適合度合いが、申請すべきかどうかの判断基準になります。
全額は出ない
補助を受けられるのは、事業にかかる費用の一部です。補助対象となる経費は何か、補助の割合 や上限額はいくらか、事前に確認することが必要です。
審査がある
補助金額は事前の審奎と事後の検査によって決定します。審査に通っても、事業内容が申請と異なっていれば、検査を通らず、補助金ゼロになることもあり得ます。
審査を通る申請書、検査を通る報告書を書かなくてはなりません。

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補助金を得るための事業ではなく、事業遂行のための補助金です。補助金を使う事業がほんとうに自社の戦略と合致するのか事前によく考え、かかる負担を想定してから、申請に取り組んでください。
 

〜ここからが本論です!〜
 

■審査する側の論理を知ろう!

補助金の原資は税金ですから、監督官庁もいい加減な企業には渡せません。書式にもうるさく、提出書面も多岐に渡ります。それを調べるのは大変なこと。そこでプロに頼むのが一般的な解決法になるのですが、「うまい話があるぞ」と売り込んでくる怪しげな人に丸投げをするのはやめましょう。基礎知識をもったうえで、中小企業診断士など信頼のおけるプロに頼んでください。良い補助金があるらしいと噂を聞いたら、いきなり飛びつかず、この記事を再度読んで確認してください。補助金に食指が動いているお知り合いにも、お伝えいただけると、喜んでくださると思います。
 
この記事では、申請を支援してくれるプロとの交渉で、対等に話すための基礎的な情報をお伝えします。
 

目次

  1. 補助金をもらう理由をがっちりと組み立てる
  2. 公的資金なので社会的意義も考える
  3. 事業計画書が必要なケース
  4. 期間内に事業を完了させる
  5. 事業完了後は証拠書類を揃えて報告する
  6. 相談できる人を捕まえよう
  7. まとめ

 

1、補助金をもらう理由をがっちりと組み立てる

補助金をもらうには、どのような事業に取り組むために資金が必要なのかという申請理由が必要です。設備投資などはわかりやすい理由です。導入する機械には型番があり、費用が明確ですし、導入によって何がどう改善されるかも、説明しやすいからです。ですがその場合でも、カタログに書かれた性能をコピペして「この機械が欲しい」というだけでは通りません。その機械の導入によってもたらされる、プラスの変化が具体的に描かれていることが求められます。そしてその変化には、意義も添えられている必要があります。
 
例えば以下のような理由であれば、導入後の変化は具体的に書きやすいでしょう。その場合でも、そう言える根拠として統計データや計測データを添えて、「適当に言ってるんじゃないですよ」と示す必要があります。

  • 引き合いは来ているのに設備が足りない
  • これから市場が伸びることがわかっているのに今の設備では対応できない
  • 生産の時間が何%短縮される

 
意義としては下記のようなものが考えられます。

  • 生産性が上がる
  • 雇用が増える
  • 給与がふやせる
  • 他社と差別化できる
  • これまでにないサービスが生まれる
  • イノベーションが起きる
  • 社会貢献になる

 
同じ機械を導入しても他社とは違う結果になることも多いでしょう。我が社だからこそすごい価値を生み出せるのだと、自社固有の事情を踏まえた説明にすることも、説得力を高める上で重要です。
 

2、公的資金なので社会的意義も意識する

補助金は中小企業を支援するための制度ですから、国や自治体も、積極的に利用してくれることを望んでいます。しかし、補助金の出所は税金や寄付。国民のお金です。意味のある事業計画でなければ審査を通さないというのが、審査をする側の考え方です。お金がもらえるから投資をするのではなく、必然性のある投資だから申請するというのが、審査をする側が求めている、正しい申請のあり方です。公的資金であることを踏まえて、事業計画の意義や効果が第三者にもわかる申請書を作ることを心がけましょう。
 
補助金を出す側の目的は個々の中小企業の支援だけではありません。最終目的は日本経済の活性化という国民の福祉です。経営に怠慢のある企業を延命させることは望んでいません。一方で、現状で経営状態が悪くても、地域経済にとって欠かせない企業であったり、補助金によって回復する見込みがあれば、補助金の出し先としては正当な企業となります。自社の都合だけではなく、経済にどう貢献するかという視点も併せ持つことで、申請する意義を訴えることができ、補助金獲得の確率を高めます。企業は株主の私有財産であると同時に、経済を支える公器でもありますから、社会的意義を考えるのは当然だとも言えましょう。
 
 

3、事業計画書が必要なケース

ものづくり補助金などの金額の大きい補助金はほとんど、事業計画書の添付が必須となっています。書面の書き方は補助金ごとに細かく決まっており、事業母体や趣旨によって提出書類にも違いがあります。事業計画書は、この事業が確実に成果を出すものであることや、社会貢献にもつながる内容であることを、審査者に対して伝える重要な書類です。素晴らしい事業を企画していても、その良さが事業計画書から読み取れなければ、審査者にはわかってもらえないでしょう。経営数値の面でも文章力の面でも、しっかりしたものを作ることが要求されます。
 
補助金は年度予算で決まるので、総額に限りがありますから、事業計画書の良し悪しで、予算の取り合いになるのが現実です。その意味でも「この企業は応援したい」と思ってもらえるような事業計画書を作ることが、採択率を高めすコツになってきます。
 
 
とはいえ、補助金をきっかけに初めて事業計画書を書く経営者も多いのが、中小企業の実態です。中小企業の経営力の底上げも、補助金の目的の一つですから、もしまだ事業計画書を書いたことがなかったとしても、勉強だと思ってチャレンジしてください。詳しい書き方は公募要項や交付の手引きなどに載っています。公募要項や交付の手引きは、補助金を交付する団体のホームページからダウンロードすることができます。何十ページもあって読むのに骨が折れますが、すべての申請者に答えるために書かれているので、自社に関係のない文章がたくさんあるのは仕方がありません。無駄な時間を使わないためには、専門家に聞き、かいつまんで説明してもらうのがよいでしょう。
 
 

4、期間内に事業を完了させる

補助金は国、都道府県、市町村などの年度予算で決まるため、事業を完了させる期限が決まっています。その期間に間に合うようにスケジュールを組む必要があります。設備を導入するとしたら、顧客の要求や他の業務との兼ね合いで時期を決めたいのが本音でしょうが、それより決められた期間が優先です。申請が採択されると交付額の通知が来ますが、その通知の前に設備を買ってしまうと、補助事業の期間外の購入、という扱いになって、補助金がもらえなくなってしまうのです。補助事業期間の後になってもアウトです。こういうところはかなり厳密ですので、公募要項をよく読み込んで、ミスがないようにしてください。
 

5、事業完了後は証拠書類を揃えて報告する

採択されればほっと一息つけますが、それは終わりではなくスタートの合図。計画通りに事業を完了させ、見積書、請求書、納品書、領収書などの証拠書類とともに報告書を提出し、その後証拠書類をチェックされて、ようやく終了となります。
補助金が口座に振り込まれるのはその後です。ですから事業にかかる資金は、一旦は自社で全額支払わなければなりません。自己資金で全額用意できる企業以外は、補助金が入るまでの期間を融資で繋ぐ必要があります。申請書にはそうした資金の手配も記載しますので、公募が始まる前に、金融機関に連絡して内諾を取っておいてください。
 

6、相談できる人を捕まえよう

自社にふさわしい補助金はあるのか、事業計画書はどう書いたらいいのか、採択の可能性を高めるには何をしたらいいのか、わからないことは多々あるでしょう。以前に自社で申請した経験があったとしても、国の予算も中小企業を支援する制度も毎年変わります。調べているうちに時間が経てば、申請期間はあっという間に過ぎてしまいますので、補助金に詳しい専門家に相談することをお勧めします。
 
 

7、まとめ

  • 自由に使えるお金ではない。あらかじめ事業計画を立て、その通りに使う。
  • 申請の実態は予算の取り合い。事業計画書の質が重要。
  • 収益性や実現性のほか、補助金をもらってまでやる意義があることを示す。
  • 事業にかかる費用全額は出ない。自己負担がある。
  • 事業は補助事業期間内に完了させる。
  • 事業の結果を報告する義務がある
  • お金が出るのは結果報告の後。
  • それまでの費用は自社で用意するか融資を受ける



 経営相談有限会社 補助金申請支援実績

  補助金名称 上限額
2021年 事業再構築補助金 6,000万円
  ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 1,000万円
  小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠) 100万円
  IT導入補助金 450万円
2020年 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 1,000万円
  サービス等生産性向上IT導入支援補助金 450万円
  小規模事業者持続化補助金(一般枠) 50万円
  小規模事業者持続化補助金(新型コロナ対策特別枠) 100万円
  JAPANブランド補助金 500万円
  観光経営力強化事業(先進的取組支援) 2,000万円
  東京都新技術新製品開発補助金 1,500万円
  サイバーセキュリティ補助金 1,500万円
  非対面型サービス導入補助金 200万円
  サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金 150億円
  IT導入支援事業者登録およびITツール登録支援 0円(支援事業者対象のため)
2019年 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 1,000万円
  小規模事業者持続化補助金 50万円
  事業承継補助金 1200万円
2018年 ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金 1000万円
  IT導入補助金 50万円
  小規模事業者持続化補助金 50万円